創業300年超の由緒ある宿坊でいただく、都内有名店出身シェフの山岳料理!
御岳山の頂上、武蔵御嶽神社の足元にある歴史ある宿坊。
そこでは、以前都内有名店でシェフを務めていた料理長が旬の山の恵みを使って、ここでしか食べられない感動の食事を提供している。
江戸時代から続く歴史ある宿坊だけあって、建物は重厚感溢れるいでたちだが、店内に入るとモダンなジャズの優しい音色が流れ、山歩きに疲れた人たちを優しく包み込んでくれる。
食事と入浴のセットもあって、かゆいところに手が届く、素晴らしいおもてなしがここには息づいている。
広い店内をずずっと奥まで進むと、小上がりの座敷席があり、靴を脱いでゆったりと寛いで食事ができるのも嬉しい限りだ。
「天ざるコース」1,500円は、自家製の食前梅酒、打ちたてのお蕎麦と、揚げたてのてんぷら、旬の山菜などを使った小鉢二点という大満足の内容だ。
山のうえの宿坊だけあって、山菜の美味しさは格別だ。
ランチの小鉢を食べただけで、日本酒が飲みたくなる。
そして、当日に打って切り立ての蕎麦は、つるつるシコシコでもっちりとした極上の食感と風味で、こんなに美味しい蕎麦には、なかなか巡り会えない。
旬の海や山の滋味をぎゅっと閉じ込め、ふんわりと揚げたサックサクの天ぷら。廉価での素晴らし過ぎるもてなしに、金銭感覚が狂ってしまいそうだ。
そして、本日の釜めし膳「梅コース」。こちらもまた、1,500円と驚きのお値段に少し面喰う。
心のこもった田舎料理でありながら、洗練を隠せない味わいに、ひとつひとつ唸らされる。
身体によい素朴なものをバランスよく、味への妥協を一切せずに。
蕎麦御前と同じ小鉢の突き出しではなく、釜めしとの相性やバランスがしっかりと考えられている。この丁寧な仕事こそ、三百年続く歴史の証明なのかもしれない。
そして、感動と驚きのあまり、思わずため息がでたのがこちらの自家製こんにゃく。
つるつる感とプルプル感に加え、口に入れると溶けていくような生きた素材の柔らかさ。
女将さんが芋の状態を見ながら配合などを調整して仕込んだこんにゃくは、文句のつけようがなく絶品だ。
もはや精進料理の領域とすら感じさせる、冷製の味噌汁もまた感動の味わい。
そして、この艶やかな釜めしの炊きあがり!
旬の山菜やきのこをはじめとする具材の旨みが染み込んだ釜めしは、ふたを開いた瞬間の湯けむりの香りは芳しく、米の芯の固さも完璧で、もはや非の打ちどころがない。
市井の人々の間に広まった山岳信仰と、山を登ってきた参拝者たちを喜ばせる感動のおもてなし。
ここ山香荘には、江戸時代から受け継がれてきて、いまでも我々を感動させずにはいられないおもてなしの精神が息づいているのだろう。
武蔵御嶽神社への参拝とこの宿坊での食事のためだけに、御岳山を登る価値がある。
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